【台風19号】利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダム!?ネットでの称賛は本当か

【台風19号】利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダム!?ネットでの称賛は本当か

台風19号による被害が依然として広がっており、
少しの雨でも増水や土砂災害に警戒をする必要がありまだまだ予断を許さない状況です。

各地で河川の氾濫が相次ぐ中、『利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダム』
と八ッ場ダムを称賛する声がネットで相次いでいます。

一時期、トレンドにも上がった「八ッ場ダム」。

民主党の前原氏が「無駄な公共事業」として建設を反対したことが記憶に蘇りますが、
実際に利根川の氾濫を防いだのは八ッ場ダムのお陰なのでしょうか…?

称賛される八ッ場ダムを一目見ようと台風後に現地を訪れる人も増えており、
果たして八ッ場ダムの役割が台風19号に与えた影響はどれだけのものだったのか、
その真相を調べてみました。

台風19号で利根川の氾濫を防いだ?八ツ場ダムにネットで称賛の嵐

台風19号で利根川の氾濫を防いだ?八ツ場ダムにネットで称賛の嵐

出典:twitter

台風19号の猛威で記録的な降水量がありましたが、各地で河川が氾濫する中、
八ッ場ダムの湛水のおかげで、利根川が氾濫しなくて済んだという噂がネットで広まり、
SNSでは称賛の声が後を絶ちませんでした。

twitterでもトレンドワードに上がり、台風を過ぎた後は
八ッ場ダムの偉業を一目見ようと訪れる人も多数いるようです。

すでに有名観光地化して、人が多過ぎてご飯が食べれない、
駐車場待ち渋滞が起きているといった事態になっているようです。

八ツ場ダムの中止を訴えた民主党前原氏に非難集中

八ツ場ダムの中止を訴えた民主党前原氏に非難集中

出典:身体軸ラボ

八ッ場ダムへの偉業への称賛が集まるとともに、矛先は2009年に
八ッ場ダムの再開工事に反対した、当時民主党の政調会長だった前原氏に。

「民主党政権のせいで大惨事になるところだった」

「民主党政権時代に工事をストップさせ工事を遅らせた前原さん、何千何万の人を殺すところだったのですよ!」

「八ッ場ダムの建設を認めないって。 記憶にございませんとは言わせないよ。」

「民主党政権の時「コンクリートより人」「八ッ場ダムは不要」と建設工事を止めた大臣がいた。誰でしたかね、前原さん。」

今回、八ッ場ダムが利根川の氾濫を防いだということ(現時点では確かではありません)
について、コメントをして欲しいといった声も上がっています。

なぜあの時に前原氏は建設に反対したのか、その真意を聞きたいということなのでしょう。

ただ、間違えた情報も出回っているようですので、今一度下記にまとめます。

長年建設が止まっていた八ッ場ダムの効果を国交省と検証し、
継続を宣言したのは民主党の野田政権であって、自民党ではない

八ッ場ダムの建設を中止した民主党は悪、といったような風潮で
情報が広がっていますが、建設を復活させたのは自民党ではありません。

1952年の八ッ場ダムの建設計画の構想されましたが、川原湯温泉や
吾妻渓谷の上流部までも沈めるダム計画であったため、地元の反対が強まりました。

そうした地元住民への理解を得るための調整などでかなりの年数を掛けています。

地形、地質を無視した計画により工期が延長され、道路などの関連事業が膨らみ、
結果として事業費が増額。

当時、世論の関心は「天下り」や「税金の無駄遣い」にあり、
「無駄な公共事業費は削るべき」といった風潮から
約50年間進捗せず、事業費がどんどん膨らんでいった八ッ場ダムについて、
地元住民の声も含め前原氏は反対したものと思われます。

そしてその後、国交省の調査結果も含めて検証を行い、建設の再開を決断
したのも民主党の野田政権。

よって、この台風19号の八ッ場ダムでの治水効果を断片的にみて、
民主党や前原氏に非難の矛先を向けて、ダム建設を全て正当化する流れに
危惧する声も出ています。

利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダムなのか

利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダムなのか

出典:twitter

ネットでの噂通り、利根川の氾濫に八ッ場ダムの効果が大きかったかどうかは
専門家の検証が無いとわかりませんが、それに対する色々な意見をまとめてみました。

八ッ場ダムは2020年春からの運用を目指し、10月1日に試験湛水が始まりました。

徐々に試験湛水をする予定し、国交省は、最高水位に達するまで3-4ヶ月見ていました。

ところが台風19号による大雨で水位が急上昇し、13日午前5時の水位は
573メートルとなり、満水時の水位(標高583メートル)まで19メートルに迫ったそうです。

利根川の氾濫を防いだのは八ツ場ダムなのか

出典:JustNews

八ツ場ダムの目的として、利根川洪水の調整がありますが、治水効果はそれほど
大きいものでも無いという意見もあります。

「八斗島と栗橋の水位変化(以下の図参照)を見ると、今回の洪水で利根川の水位が計画高水位(注)に近づきましたが、利根川本川は堤防の余裕高が2メートルあって、計画堤防高にはまだ十分な余裕がありました。
したがって、今回の台風では、八ッ場ダムの洪水貯留がなく、水位が多少上がったとしても、利根川が氾濫することは考えられませんでした。

また、国交省による八ッ場ダムの治水効果の計算結果(以下の図参照)で明らかなように、八ッ場ダムの治水効果は下流に行くほど減衰していきますので、今回の八ッ場ダムの洪水貯留がなくても、利根川の中流下流の水位がそれほど上昇しなかったと考えられます。」

引用:八ッ場あしたの会

「八ッ場ダムが利根川の氾濫を救った」という情報拡散について、
八ッ場ダムは利根川水系全体のダム貯水量の何%を占めるのか、
八ッ場ダムの貯水量を利根川の流域面積で割るといくつになのかといった
数値的な検証がされないと、ハッキリしたことは言えないという意見もあります。

また、今回の台風19号の時に八ッ場ダムが本格運用前で、空だったから
これだけの貯水ができたとう意見もあります。

また、群馬県には利根川水系のダムは八ッ場ダム以外にもあり、
利根川の支流である石田川が今回氾濫していることから、
「八ッ場ダムの建設=利根川の氾濫を防ぐ」という図式は短絡的という意見もあります。

少なくとも、利根川の氾濫を防ぐのに八ッ場ダムの貯水効果もあったと思いますが、
色々な情報が一人歩きしている感じも否めません。

ダムの写真とツイートだけみて判断し拡散するのは、間違えた情報を拡散する
ことにも繋がります。(八ッ場ダムの底に沈んだ川原湯温泉や、地元住民の方の
心中を察すると、そのように讃えたい気持ちは分かります…..)

利根川の氾濫抑制に八ッ場ダムがどれだけ効果があったかは、いずれ専門家の
方が検証されると思いますので、その動向を見守りましょう。